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いまだに『全て手作業』を謳う墓石クリーニング業者の誤解

私の本拠地である埼玉県にも、いまだに『機械は使わず全て手作業』を謳う墓石クリーニング業者が見られます。
墓石クリーニングにおいて、手作業の工程は必ず発生し、手作業が効果的な場合が多々あります。
全て手作業が悪いということではなく、今回問題と感じたのは、そういった業者のHP等で誤解した内容が掲載され、ユーザーや閲覧者に伝わっているということです。
その掲載内容を一部抜粋しますと、

・当社のクリーニングは石を傷めるような高圧洗浄機やポリッシャーは使用しません
・当社の溶剤は研磨剤は一切使用していません
・どんな古い墓石でも新品のようによみがえります

等々・・・

【機械類や研磨剤で石は傷まない】
墓石クリーニングでは高圧洗浄機やポリッシャーを正しく使用すれば、石を傷めるどころか手作業より効果が上がり、仕上がりが良くなることも多いです。
『機械が石を傷める』というのは、これらの機械道具を間違った使い方をするからです。高圧洗浄機であれば、石の種類や状態を良く確認せず闇雲に高圧洗浄すれば、石が欠けたり彫刻部が飛んだりするでしょう。またポリッシャーも研磨パッドの選定を誤ったり、水量・回転数・圧力が適正でなければ艶が飛んだり焼けを起こす事もあります。
しかし昔から『○○と道具は使いよう』といいます。
施工作業の効果や仕上がりをより高めるために、知識と機械等の道具を正しく的確に使用する。これが真の技術ではないでしょうか。
例えば、ビシャン等の叩き加工の外柵をクリーニングするのに洗剤とブラシで手作業するとします。叩きの表面はブラシの毛より細く細かい凹部が多数ありますので、そのような箇所の汚れは高圧洗浄がとても有効に働きます。
手で擦るブラッシングもポリッシャーでブラッシングすれば更にムラなく洗浄出来ることもあるのです。
洗剤とブラッシングに加え、石材用コンパウンド(研磨剤)を的確に選定して作業すればより効果的に作業できたりします。
また、もし全て手作業の業者が石塔天端の水垢除去に洗剤を塗布しながらスクレイパー等でこそぎ取っているのであれば、それこそ疑問が生じます。
水垢は無機汚れですので、当然酸性の洗剤を使用しているはずですが(もしアルカリ性や中性洗剤を塗布しているのならば無意味)、どんなに石に影響の少ない酸性洗剤でも、ミクロン単位では何かしらの鉱物は溶けているのです。本来洗剤はブラッシングレベルで使用するもので、スクレイパーでこそぎ取る様な無機汚れであれば酸性洗剤を塗布する事はかえって石に悪影響を及ぼします。
水垢除去作業後も建墓後数十年経過した墓石の天端等は、手で撫でてみると全くのツルツルではなく、少し引っかかるようなざらつき感が残ります。主に白御影石に多く見られますが、これは酸性雨等により雲母等の鉱物が変化・溶脱を起こし突出するからです。
このような場合は、ポリッシャー等で水を使いながら石材用研磨パッドの細仕上(#3000~#6000)で研磨すれば、表面はさらに滑らかに仕上がります。そもそも本磨きの石材部材は研磨盤や研磨パッドで加工され仕上げていますので、ポリッシャーの使用はむしろ必然的なことです。
誤解した内容を掲載する前に、業者自身でまずは使って体感しその事実を知るべきですし、洗剤も機械類と同じクリーニング道具の一つと認識すべきです。むしろ洗剤は石内部に浸み込むため、洗剤ありきのクリーニングではかえって鉱物を傷めるリスクが高いということを理解すべきだと思います。

【経年墓石はクリーニングではよみがえらない】
数十年経過した屋外環境の墓石等は、石の内部外部に限らず既に何らかの鉱物劣化が生じています。劣化した鉱物は元に戻すことはできないのです。
クリーニングで『新品のようによみがえる』と謳うのは少々行き過ぎた過大広告です。黒御影石の色褪せ、白御影石の濡れジミ、数十年経過のサビ・・・等々、残念ながらこれらはよみがえりません。
唯一クリーニング以外の方法であれば『新品のようによみがえる』といえる事例はあります。石材店様はご存じと思いますが、黒御影石等の吸水率が極めて低い墓石の再研磨です。彫刻箇所も再ブラストすればほぼ新品の様になります。これは傷んだ鉱物箇所を取り除き、傷んでいないきれいな鉱物面を表に出すからです。
クリーニングはあくまで鉱物劣化が進んだ現状の中で、よりキレイな状態にする事に他なりません。

【全て手作業を謳わせている問題】
では何故このような『全て手作業』を謳う業者が後を絶たないのか?
これには加盟店を募る会社やフランチャイズ制の本部に問題があるのが実態です。
彼らのように加盟し独立開業した業者は、本部のすすめる内容を信じ『全て手作業』が正だと思って取り組みます。
残念ながら『全て手作業』を謳う理由は、こういった加盟店制度の会社やFC本部の利益獲得のための戦略であることが殆どです。
加盟費用30万~100万と比較的低資金で抑えられるので、気軽に加盟し易くなる心理を突いています。初期導入費用も数種類の洗剤とホームセンター等で揃うちょっとした手道具のみ。販促ツールが付き数日研修を行いますが、それを差し引いても本部側の利益は相当な額になります。さらに月会費を徴収する会社もあるほどです。
これが機械類を用いる技術の加盟制度ならば、機器導入費用だけでも数十万といった額になるため、加盟意欲が減少し加盟者数を獲得するのが難しくなってしまうからです。
墓石クリーニングはとても良いサービスです。こういった会社も設立当初は『良いサービスをもっと広めたい』という志を持っていたはずです。それを忘れ本部利益獲得に走りすぎると技術の発展が止まり、加盟をいかに募るかに力を注ぐようになります。
その結果、加盟業者は存続できなくなり、廃業していく業者が後を絶たないというのが悲しい現実です。

『特殊技術です』『技術は業界一です』と謳うのであれば、『全て手作業』からもっと幅を広げ、機械道具を否定せずそれらを上手に活用できる知識と技術を発展させて、お客様の大事なお墓を扱っていただけたらと切に願います。
2023年02月13日 19:45

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